文字で語る音語

音で物語を創るボカロPが文章を書くブログです

ボカコレ2022春10選

こんにちは。
ボカロPのtk(タピオカP)です。

ボカコレが終わってからそれなりに時間が経ちましたが10選だします。
多分期間内で聴いた曲は400曲くらいなのでそんな自分が10選ぶのも大概なのですが、おすすめ曲くらいの感覚で聞いてくださると幸いです。

タナトス - 廻転楕円体 feat.初音ミク

ドラムンのリズムを基調に展開しているんですけど、ギターの烈しさがメチャメチャ効いていてどうにもメタルとかプログレの要素を想起しました。

ミクの早口歌唱とか、間奏のギターの使い方が死ぬほど良い。マジで満腹感。
本当に要素要素の洪水で幸せに溺れ死ねそう。

廻転楕円体さんの曲の中で、一番メロディックなポップスさの含有率が高いような気がしていて、彼の曲を初めて聞く人にもおすすめできる一曲だと思います。

 

プラネテス / seiza feat.初音ミク


自分の好みで1選を選ぶならこの曲。

エレピの細かいパッセージとか、音作りの生み出す浮遊感がメチャメチャ魅力的。純粋にメチャメチャtk好み。
切ない浮遊感がすごいエモーショナルで、けどKick(※)がちょうどよい重さで音楽をドライブしていくの最高に最高。

※ところどころJerseyClubっぽいリズムで跳ねたりして、底の躍動感もめっちゃいいんですよね

 

ルピナス / 夜野 灯 feat.初音ミク


綺麗に響く美しい躍動感に、ほんの少しの切ない痛み。こういうのってJ-Popの一つの典型例だと思うのですが、そんな誰しもが聴いたことがある「ポップス」の一つの完成形だと思います。

ちなみに、どことなく初期のくらげPっぽさを感じたので、この名前を知っている人はぜひ聴くべき。
ギターの音がとても素敵。

 

死んでしまったんだ/可不・結月ゆかり


椎乃味醂の描く「嫌悪感」、本当に最高ですよね……
天才的にエッジが立っていて、刺してくる音は今回も尋常じゃぁない。

この音の訴えかける「意味」は「やるせなさ」か「糾弾」か、それとも「諦め」なのか。
あるいは……?

 

狂っと廻って忘れちゃう! / 呆feat.初音ミク


「最もこの作家らしいサウンド」の到達点のその一歩先って感じ。正しく呆サウンドの真骨頂。

サビメロがめっちゃ面白いんですが、だからこそ冒頭からしっかり聴くべきだと思います。冒頭からAメロ→Bメロと聞いて、あの展開の末にサビを聞いたからこその魅力があると思う。

 

わたしのなかのぐちゃぐちゃ / Yono feat.結月ゆかり


鮮烈にダウナーで、ただただ美しいビターなロック。

すっごい魅力の言語化が難しいんですけど、激情をそのまま凍らせたような、痛みも切なさもすっごい大きいものを感じるのにどこか冷静な音像に聞こえました。
ノーコピーライトガールさんの絵柄がメチャメチャマッチしてるんですよね。

 

ワスレジ -ft.初音ミク


しっとりと抑制的なオシャレな音なのに、ところどころで聞こえる感情がとても巨大で胸に迫る一曲。

冒頭に入っているKawaii Future Bassのクリシェな和音とか、他にもたくさん、全然別ジャンルのお作法がメチャメチャさり気なくて、感情が巨大なのに抑制して聞こえるのは本当に見事だと思います。
淡々と切ない。パステルカラーの花緑青。

 

幻影少女と明晰夢 / 雨蛙 feat.初音ミク


硬質なリフやKickの疾走感、高音のシンセやギターソロの浮遊感、通底する切ない感情。

カッコいいのに切ないロック。
最小限の動きなのに、静と動の対比が鋭くて聞き入りたくなる一曲です。

Orangestar好きな人には是非オススメしたいかも

 

僕は初音ミクに食べられた/りうむfeat.初音ミク


初音ミクが生まれてそろそろ15年、合成音声楽器の数も増えて、バーチャル存在の概念も拡がって、「ミクでしか成り立たないこと」も今では少なくなった。
それでも、それでもこの曲の「明らかに片想いで、明らかに両想い」の重ね合わせの上で歌う言葉はミクしか歌えないよな(遠い目)

メロディの抑揚が、割とメチャメチャ「変」で歌いづらいんですけど、だからこそそのメロディを歌う初音ミク初音ミクしてるんですよね。。。。

 

スタッフロール / 初音ミク

ハガネさんは(これは誤解が怖い言い方になっちゃうんですけど)、本当に良い意味で「聞き手が過去に知っている他の曲」を曲に含ませるのが上手いんすよね。
メインは言うまでもなく暴走Pですけど、ブレスユアブレスの文脈も感じたし、あとRADが君の名はで書いた”なんでもないや”とか感じてメチャメチャ切なくなりました。

多分、RADWIMPSの「なんでもないや」の歌詞を感じたのは、tkが勝手に自分の知識を紐づけただけだと思います。
けど、それはつまり正しく「聞き手の記憶を思い起こさせるのが上手い」ってことだと思うんですよね。
本当にずるい。褒め言葉の「ずるい」な。

 

さいごに

tkの書いた曲はこんな感じです。

切なくて痛いロックバラード(要するにn-bunaっぽいやつ) × Colour Bass。
めっちゃ組み合わせが想像できないと思うんですが、切ない雰囲気のまんま2番がゴリゴリになります。

アルバム「Before the prelude」のために描き下ろした一曲です。
できればアルバムも聴いてくださると嬉しいです。

soundstoriesbytk.com

 

今回のボカコレの感想

前回までは「ボカロシーンの最前線」みたいなことも考えながら聴いちゃってたんですけど、今回はあんまりそう言うの意識しなかったです。

本当にいろんなジャンルの曲がひしめき合ってたし、流行りは「追う」というより「取り入れる」って方が近い気がします。
人気の曲はどれも「はやりの方向性だからウケた」というよりも、その人なりの個性が強く香ってくる曲だったと思う。The イマドキのボカロって曲も含めて。

だからこそ、ランキングについては本当にハイレベルな場所だったと思うんですが、同時に絶対自分の好みの曲がある場所なのも確か。

できるだけたくさん音楽聞いて、自分の好みの曲を見つけてほしいなって思います。